日本馬挑戦の歴史JAPANESE HISTORY

辛酸をなめてきた日本調教馬の中で異彩を放つロードカナロア

香港国際競走の中で最後の2002年にG1昇格した香港スプリントだが、当初から地元馬のレベルが高く、日本調教馬をはじめとする遠征馬が厚い壁に跳ね返され続けている。日本調教馬はG1昇格前の2001年からスプリンターズSや高松宮記念の覇者といった最強クラスが積極的に参戦したものの、2009年までの延べ12頭のうち8頭が10着以下に沈む惨敗を喫した。

しかし、初参戦から10年あまりが経った2011年、破竹の5連勝でスプリンターズSを制したカレンチャンが歴代最高の5着に善戦。直線入口で進路を失い、追い出しが遅れる不利さえなければ4着馬との1/4馬身差も逆転可能と思われた走りは、暗中模索の状態だった日本のスプリンターたちに一筋の光明をもたらす価値ある敗戦となった。

その翌年、厩舎の先輩カレンチャンを破ってスプリンターズSの覇者となったロードカナロアが、カレンチャンと連れ立って香港遠征を決行。ロードカナロアは抜群の手応えで3番手を追走すると、残り100mから力強く2馬身半抜け出し、日本調教馬として悲願の初制覇を果たした。

帰国して日本の短距離戦線を制圧したロードカナロアは、2013年も香港スプリントに単騎参戦。前年の3番人気から単勝1.8倍の圧倒的人気を集めるまでに敵地で実力を認められる存在となった。レースでは好位勢の背後から岩田康誠騎手にゴーサインを受け、難なく先頭に立つ圧倒的なパフォーマンスを披露。着差を広げるのが難しいスプリント戦にあって、レース史上最大の5馬身差を築く独走劇で連覇を成し遂げた。

続く2014年もストレイトガールが3着と結果を出し、日本調教馬が香港で負け続けた歴史を払しょくするところまで来たかに思われた。しかし、そのストレイトガールが雪辱を期した翌年は9着に敗退すると、2016年は高松宮記念のビッグアーサー、スプリンターズSのレッドファルクスと2頭の王者がそろって10着以下に惨敗。2018年にも春秋スプリント制覇のファインニードルが8着と、現状はかつてのような国内最強クラスをもってしても及ばない状態に陥っている。

馬名 性齢 着順 騎手 調教師
2019 ダノンスマッシュ 牡4 8 L.デットーリ 安田隆行
2018 ファインニードル 牡5 8 川田将雅 高橋義忠
2017 レッツゴードンキ 牝5 6 岩田康誠 梅田智之
ワンスインナムーン 牝4 12 Z.パートン 斎藤誠
2016 ビッグアーサー 牡5 10 R.ムーア 藤岡健一
レッドファルクス 牡5 12 M.デムーロ 尾関知人
2015 ミッキーアイル 牡4 7 浜中俊 音無秀孝
ストレイトガール 牝6 9 戸崎圭太 藤原英昭
サクラゴスペル 牡7 12 Z.パートン 尾関知人
2014 ストレイトガール 牝5 3 岩田康誠 藤原英昭
スノードラゴン 牡6 8 大野拓弥 高木登
リトルゲルダ 牝5 14 M.デムーロ 鮫島一歩
2013 ロードカナロア 牡5 1 岩田康誠 安田隆行
2012 ロードカナロア 牡4 1 岩田康誠 安田隆行
カレンチャン 牝5 7 池添謙一 安田隆行
2011 カレンチャン 牝4 5 池添謙一 安田隆行
パドトロワ 牡4 14 安藤勝己 鮫島一歩
2009 ローレルゲレイロ 牡5 13 藤田伸二 昆貢
2008 ローレルゲレイロ 牡4 8 四位洋文 昆貢
トウショウカレッジ 牡6 9 池添謙一 池添兼雄
2006 シーイズトウショウ 牝6 10 池添謙一 鶴留明雄
メイショウボーラー 牡5 中止 福永祐一 白井寿昭
2005 アドマイヤマックス 牡6 11 上村洋行 橋田満
2004 サニングデール 牡5 7 福永祐一 瀬戸口勉
カルストンライトオ 牡6 14 大西直宏 大根田裕之
2002 ショウナンカンプ 牡4 10 藤田伸二 大久保洋吉
ビリーヴ 牝4 12 武豊 松元省一
2001 ダイタクヤマト 牡7 12 江田照男 石坂正
メジロダーリング 牝5 13 吉田豊 大久保洋吉