1994年にリステッドの香港国際ヴァーズとして創設されたレースは、G3を経ることなく2年後の1996年に国際G2に格付け。1999年に香港ヴァーズへと改称し、創設から6年目の2000年にG1へと昇格した。

香港では長距離戦そのものが少ないため、盛んに行われているスプリント戦やマイル戦のように地元勢の層が厚いとはいえず、香港ヴァーズでは外国勢に対して苦戦傾向。G1昇格後では2013年のドミナントと2018年のエグザルタントの2頭しか優勝しておらず、G2時代のインディジェナス（1998年）を合わせて3勝に留まっている。

香港ヴァーズの中心を担ってきたのは欧州調教馬で、G1昇格後ではフランスのドクターディーノ（2007、2008年）が連覇を達成。G1昇格前には英国のルソー（1996、1997年）も連覇している。また、アイルランドのハイランドリールは2015年と2017年、日本のグローリーヴェイズも2019年と2021年に計2勝するなど、これまで2勝以上したのは全て外国からの遠征馬となっている。

日本調教馬はグローリーヴェイズの他にステイゴールド（2001年）とサトノクラウン（2016年）、そしてウインマリリン（2022年）が優勝。最近10年ではアイルランド（3勝）、フランス（2勝）を上回る最多の4勝を記録している。なお、2019年にグローリーヴェイズがマークした走破時計（2分24秒77）はG1昇格後の最速タイムとなっている。

賞金総額は香港マイルと香港カップが増額されたのに対し、香港ヴァーズは前年と変わらず2400万香港ドル、1着1344万香港ドル。ただし、為替の変動もあり円建ての総額は4000万円、1着も2000万円ほど増加している。同じ2400mのG1レースを日本と比較すると、ジャパンC（総額10億8500万円、1着5億円）の半分ほどの規模で、日本ダービー（総額6億4800万円、1着3億円）にも及ばない。

IFHA（国際競馬統括機関連盟）による2023年の「世界のトップ100G1レース」では44位タイ（レースレーティング118.00）。同1位のジャパンC（レースレーティング126.75）をはじめ、同じ距離区分で3レースがベスト10入りしている日本ほどのレベルにはなく、昨年も国内でG1未勝利のゼッフィーロが2着に健闘した。

※G1昇格後の優勝馬について記載