【海外競馬 ニュースまとめ】2018年11月
2018年12月04日 19:00
●エネイブルが史上初の凱旋門賞、BCターフの同一年制覇を達成
11月3日にアメリカのチャーチルダウンズ競馬場で行なわれたG1BCターフ(芝12ハロン)をイギリスの4歳牝馬エネイブル(父ナサニエル、J.ゴスデン厩舎)がアイルランドの3歳牝馬で、G1英チャンピオンズフィリーズ&メアズSを勝って臨んだマジカルを3/4馬身差退けて優勝。史上初となる凱旋門賞、BCターフの同一年制覇を達成した。
エネイブルがまたしても歴史を作った。
熱発というアクシデントを乗り越え、史上初めて年内に1度しか使わずに凱旋門賞を制したエネイブルだったが、今度はアメリカに遠征して、これまで7頭(下記参照)が挑んで果たせなかった凱旋門賞とBCターフの同一年制覇という快挙を成し遂げた。
ちなみにこの偉業に初めて挑んだのはエネイブルと同じアブドゥラ殿下が所有していたダンシングブレーヴで1986年のこと(4着)。32年越しのリベンジを果たしたことになるわけだ。
なお、エネイブルは11月19日にアブドゥラ殿下のレーシングマネージャーを務めるT.グリムソープ氏から、来年の現役続行が発表。史上初の凱旋門賞3連覇を目指す。
【凱旋門賞勝ち馬の同一年のBCターフ成績】
・ダンシングブレーブ(1986年):4着
・トランポリーノ(1987年):2着
・ソーマレズ(1990年):5着
・スボティカ(1992年):5着
・ディラントーマス(2007年):5着
・ゴールデンホーン(2015年):2着
・ファウンド(2016年):3着
*2001年のサキーはBCクラシックで2着
●オーストラリアでファン投票レースが誕生
11月19日、ファン投票で出走馬が決まる1600m戦がオーストラリアで来年創設されることが明らかになった。ヴィクトリア州の統括団体であるレーシングヴィクトリア(RV)と同州の主要主催者団体であるヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)、メルボルンレーシングクラブ(MRC)、そしてムーニーバレーシーシングクラブ(MVRC)が共同で発表したもの。新設レースは「オールスターマイル」(The All-Star Mile)という名称で、フルゲート14頭の内、まずファン投票上位の10頭が出走馬として選出。残りの4頭はRVによって決められる。第1回となる来年は3月16日にフレミントン競馬場で開催される。
ファン投票といえば日本のG1有馬記念が世界的にも有名だが、RVによればオーストラリアでは初めてのこと。総賞金は500万豪ドル(約4億1000万円)、1着賞金は225万豪ドル(約1億8500万円)でこれは1600m戦としては世界最高賞金。開催場所はヴィクトリア州の主要3競馬場であるフレミントン競馬場、コーフィールド競馬場、ムーニーバレー競馬場の持ち回りとなる。
ユニークなのはファン投票を行なったファンにも賞金獲得のチャンスがあるということ。詳細はまだ明らかになっていないが、それぞれの選出馬に投票したファンの中から各馬につき1人が名目上のオーナーとして選ばれ、賞金50万豪ドル(約4100万円)を分け合うシステムになっている。
この時期のヴィクトリア州の競馬はG1オーストラリアンC(芝2000m)、G1ニューマーケットH(芝1200m)、G1オーストラリアンギニー(3歳、芝1600m)、G1ブルーダイヤモンドS(2歳、芝1200m)などのビッグレースがあるが、近年は4月に2週連続でG1クイーンエリザベスS(芝2000m)やG1ドンカスターマイル(芝1600m)を含む計8つのG1を行なう「ザ・チャンピオンシップス」を創設したニューサウスウェールズ州の競馬に押され気味だった印象があり、今回のオールスターマイルが巻き返しの起爆剤となるか注目したいところ。
またニューサウスウェールズ州のG1ドンカスターマイルがハンデ戦であるのに対して、オールスターマイルが馬齢重量戦であることもポイントで、第1回にウィンクスを呼ぶことができるのかどうかも注目だ。
文:秋山 響(TPC)