キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス 2026/7/25(土) 23:35発走 アスコット競馬場

見どころPREVIEW

マスカレードボールは日本馬の史上初制覇が期待される。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

優勝経験馬2頭を含む強力な相手関係、日本勢には難コースも課題

今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSにはマスカレードボール、ヴェルテンベルクと2頭の日本調教馬が初めて同時参戦。マスカレードボールには前年の覇者カランダガンと接戦の実績があり、史上初制覇への期待も高まっているが、相手関係は近年の比較においても手強く予断を許さない。

日本からの目線では、昨年のジャパンCでカランダガンとアタマ差の激闘を演じたマスカレードボールが、8カ月ぶりの再戦で逆転なるかが最大の注目となっている。手塚貴久調教師が打ち明けているように、3歳から4歳となって心身の成長が著しいとあれば、当時のわずかな差を逆転することに希望を持ちたくもなる。

ただ、公平な目でみれば、カランダガンに対してアドバンテージと思える要素はそれくらい。当時は2kg軽かった斤量が今回は同じになり、しかも、日本ではまず負担することのない61kgもの酷量が背中にのしかかる。何より、東京競馬場の約8倍に相当する高低差約22mの急坂を克服しなければならない。スタートから続く下り坂での折り合い、一転して上り続けるスタミナと、問われる資質は全く別物。アタマ差とはいえホームで敗れた上で、これほど条件の異なるアウェーでの戦いと不利な材料の方が多い。

一方のカランダガンはアスコット競馬場での実績が十二分。昨年のキングジョージ優勝だけでも証明になるが、3歳時には同じ12ハロンのG2キングエドワード7世Sで驚がくの追い込みを決め、10ハロンの英チャンピオンSも1勝、2着1回と通算4戦で連対を外していない。5歳で衰えを心配する段階でもなく、優勝候補の筆頭とされて当然の存在だろう。

昨年のキングジョージ優勝馬カランダガン。(Photo by Getty Images)

極めて癖の強いアスコット競馬場は巧拙が分かれる面もあり、コース実績は重要な要素。カランダガンの1年前にキングジョージを制しているゴリアットは、今年も前哨戦のG2ハードウィックSで鞍上のアブミが外れるアクシデントに見舞われながら3着を確保するなど、アスコットの12ハロンでは3戦とも3着以内に好走しており当然、軽視できない。

また、牝馬のカルパナは昨年のキングジョージでカランダガンに完敗の2着も、前走のハードウィックSではゴリアットに先着と牡馬にも引けを取らない。この他に秋のG1英チャンピオンズフィリーズ&メアズSを連覇するなど、本格化前も含めてアスコットの12ハロンでは2勝、2着2回、3着1回と抜群の相性を誇っている。多少なりとも馬場が渋ればさらに歓迎のタイプでもある。

コース実績からカランダガン、ゴリアット、カルパナの3頭が上位争いに絡んでくる可能性は高く、日本勢はひとまず一角崩しが現実的な目標だろう。格上挑戦のヴェルテンベルクは第一に地力がテーマになるが、タフなコースに向けてスタミナを証明しているのは魅力。マスカレードボールともども中より内の枠順なら下り坂で壁を作りやすく、天皇賞(春)のように折り合っていければ持ち味が生きることも。前哨戦のハードウィックSでカルパナ1頭に狙いを定め、ジアヴェロットを勝利に導いたO.マーフィー騎手を鞍上に迎えられたのは大きい。

前売り人気でカランダガンを脅かす存在になろうとしている愛ダービー馬ベンヴェヌートチェッリーニは今回が初めてのアスコット競馬場。A.オブライエン調教師の見立ては適性がありそうとのことで、実績的にも勝ち負けになって不思議はない。ただ、近年は不振の3歳世代のうえ、大外の9番枠が割引材料。ここは秋に向けての試金石と見ておくべきか。僚馬で昨年の英愛ダービー馬ランボーンは前々走のハードウィックSで惨敗、前走のG1サンクルー大賞は超スローペースで5着も、最後方から追い込んできたカランダガンに6馬身余りの差をつけられるなど、近走は着順ほど内容を伴っていない。

4頭出しのA.オブライエン厩舎では牝馬のミニーホークが牡馬との対戦成績も含めて最も信頼できそう。前走はG1プリンスオブウェールズSでオンブズマンに完敗の2着も、10ハロンの距離がやや短かった。初のアスコットで一応の結果を残せたのは収穫といえ、昨年の凱旋門賞で勝利に肉薄した得意の12ハロンに延びる今回は侮れない。牡馬の有力馬に直線勝負型が多いこともあり、ペースメーカーを務めるであろうアクションとの連携で展開を利することがあるかもしれない。

(渡部浩明)