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【世界の騎手紹介 Vol.5】ジョアン・モレイラ

2018年04月20日 12:00

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香港を代表するジョッキーのひとり。騎乗馬を意のままに操り、いとも容易く勝利に導くことから「マジック・マン」の異名を持ち、香港では「雷神」とも呼ばれている。

1983年9月26日にブラジルで生まれたジョアン・モレイラ騎手は、父が早くに他界したこともあり、小さいころから工場で働いていたが、14歳の時に騎手を志した。2000年に騎手デビューを果たし、サンパウロのリーディングに2004/2005年から2007/2008年まで4シーズン連続して輝いたほか、サンパウロのオークスにあたるG1ディアナ大賞をプレゼンテで制するなど9年間で1000勝以上をマーク。2006年にはブラジル調教馬エウタンベンでアルゼンチンのダービーであるG1ナシオナル大賞に優勝している。

その後、フランスでの数カ月を経て、2009年にシンガポールに移籍。翌年にそれまでのシンガポール年間最多勝記録を塗り替える116勝を挙げて初めてリーディングの座に就くと、それ以降2013年まで4年連続してその座に君臨。2012年には最多勝記録を206勝にまで伸ばしたほか、2013年の9月6日にはシンガポール記録となる1日8勝(騎乗機会全勝)をマークした。

モレイラ騎手はそこからさらにステップアップ。同年10月に香港に移籍すると、初めてシーズンをフルに戦った翌シーズン(2014/2015年)には香港のシーズン最多勝記録となる145勝をマークして香港でもチャンピオンタイトルを獲得。以降、170勝を挙げた2016/2017年シーズンまで3シーズン連続して最多勝記録を更新しつつ、リーディングの座に就いた。2017年にはラッパードラゴンで史上初めて香港ダービーを頂点とする香港4歳クラシックシリーズ(全3戦)を完全制覇したほか、同年3月5日にはシャティン競馬場で1日8勝を挙げて香港における1開催日の最多勝記録をマーク。日本でも2016年8月27日、28日にJRA最多タイ記録となる騎乗機会7連勝を記録している。

2017/2018年シーズン終了後には、JRAの騎手免許一次試験を受験したが不合格。その後2018/2019年シーズンの途中で香港に復帰し、ビートザクロックで制したG1チェアマンズスプリントプライズとG1センテナリースプリントCを含む90勝を挙げてリーディング第2位となった。その後、2019/2020年シーズンも2位だったが、2020/2021年シーズンには157勝を挙げて、4度目となるリーディングタイトルを獲得した。

香港国際競走はG1香港カップをデザインズオンローム、G1香港マイルをエイブルフレンド、G1香港スプリントをペニアフォビア、G1香港ヴァーズをサトノクラウンで制して完全制覇。そのほか、G1クイーンエリザベス2世Cをネオリアリズム、G1チャンピオンズマイルをモーリス、ドバイではG1ドバイターフをヴィブロスで優勝と日本馬を数々のG1勝利に導いており、日本のホースマンからの信頼も厚い。2019年もグローリーヴェイズでG1香港ヴァーズを制した。

近年のG1勝ち
2021年
クイーンズシルバージュビリーカップ(香港):ワイクク
センテナリースプリントカップ(香港):ホットキングプローン

2020年
香港ゴールドカップ(香港):タイムワープ
センテナリースプリントカップ(香港):ビートザクロック
スチュワーズカップ(香港):ワイクク

2019年
香港スプリント(香港):ビートザクロック
香港ヴァーズ(香港):グローリーヴェイズ
チェアマンズスプリントプライズ(香港):ビートザクロック
センテナリースプリントカップ(香港):ビートザクロック

2018年
エリザベス女王杯(日本):リスグラシュー
スチュワーズカップ(香港):シーズンズブルーム

2017年
クイーンエリザベス2世カップ(香港):ネオリアリズム
ドバイターフ(ドバイ):ヴィブロス
オークリープレート(オーストラリア):シェイデル

2016年
香港ヴァーズ(香港):サトノクラウン
チャンピオンズマイル(香港)モーリス

文:秋山 響(TPC)