ドバイワールドカップ 2023/3/26(日) 01:35発走 メイダン競馬場

日本馬挑戦の歴史JAPANESE HISTORY

サウジからの転戦で機会拡大、高まるダートで初優勝への期待

昨年(2022年)のドバイWCではチュウワウィザードが勝ち馬から2馬身1/4差の3着に善戦した。同馬は2021年もダート開催における日本調教馬の歴代最高に並ぶ2着だったが、当時は勝ち馬と3馬身3/4差。着順こそ下がったものの、2022年の着差は最も勝利に近づいたことになる。また、同一馬が2年連続で入着を果たしたのも史上初の快挙で、日本のダート馬が世界との距離を着実に詰めていることを感じさせる結果だった。

米国のブリーダーズカップ開催に参戦例が少ないこともあり、ドバイWCは日本のダート馬と世界との差を量る尺度のような役割を果たしている。日本調教馬は1996年の第1回からライブリマウント、第2回にホクトベガ、第3回もキョウトシチーが遠征するなど、時代を彩った最強クラスが継続的に参戦するも、高い壁に跳ね返されてきた歴史がある。

そうした中で、初めて可能性を示したのは芝を主戦場とする異色の存在だった。レース創設から6年目の2001年、トゥザヴィクトリーが大きな見せ場を作って2着に激走する。前走のフェブラリーS(3着)でダートを初体験したばかりだったが、ドバイWCでは芝G1戦線で培ったスピードを全開。最後はアメリカの王者キャプテンスティーヴに3馬身差で敗れたものの、日本調教馬にとって初めてだけでなく、レース史上唯一の牝馬による連対例として残る鮮烈な記憶と記録を残した。

しかし、その後は2007年のヴァーミリアンと2006年のカネヒキリ(繰り上がり)が勝ち馬から10馬身以上も離されての4着が最高と、ダート王たちが完敗を繰り返す状態に戻ってしまう。この行き詰まりとも思える状況に意外な形で転機が訪れる。ナドアルシバ競馬場が閉鎖され、2010年にメイダン競馬場が新設。ダートコースも当時流行していたオールウェザーコースに作り替えられた。

その結果、従来のダートよりスピードを問われる舞台設定に変わり、皐月賞と有馬記念で芝G1レース2勝を誇るヴィクトワールピサが、2011年に遠征してついにドバイWC初制覇。2着にもトランセンドが続いてワンツーフィニッシュを果たし、レースの2週前に発生した東日本大震災の被害に打ちひしがれる日本へ大きな感動を届けた。

AWコースでの開催は長く続かず、2015年に再びダートコースに変更されると、日本調教馬もかつてのような低迷期に逆戻りした。しかし、2020年になってドバイWCの1か月前にサウジCが創設されたことにより、芝・ダートを問わず日本のトップクラスに中東での選択肢が増加。2021年のチュウワウィザードはサウジからの転戦で2着という成果につなげた。そして、この2023年には芝のG1ホースが3頭もドバイWCに挑戦を予定と、新たな転換期を迎えそうな期待がある。

馬名 性齢 着順 騎手 調教師
2022 チュウワウィザード 牡7 3 川田将雅 大久保龍志
2021 チュウワウィザード 牡6 2 戸崎圭太 大久保龍志
2019 ケイティブレイブ 牡6 取消 J.モレイラ 杉山晴紀
2018 アウォーディー 牡8 6 武豊 松永幹夫
2017 アウォーディー 牡7 5 武豊 松永幹夫
ラニ 牡4 8 R.ムーア 松永幹夫
アポロケンタッキー 牡5 9 C.ルメール 山内研二
ゴールドドリーム 牡4 14 J.モレイラ 平田修
2016 ホッコータルマエ 牡7 9 幸英明 西浦勝一
2015 ホッコータルマエ 牡6 5 幸英明 西浦勝一
エピファネイア 牡5 9 C.スミヨン 角居勝彦
2014 ベルシャザール 牡6 11 C.ルメール 松田国英
ホッコータルマエ 牡5 16 幸英明 西浦勝一
2012 エイシンフラッシュ 牡5 6 C.ルメール 藤原英昭
スマートファルコン 牡7 10 武豊 小崎憲
トランセンド 牡6 13 藤田伸二 安田隆行
2011 ヴィクトワールピサ 牡4 1 M.デムーロ 角居勝彦
トランセンド 牡5 2 藤田伸二 安田隆行
ブエナビスタ 牝5 8 R.ムーア 松田博資
2010 レッドディザイア 牝4 11 C.スミヨン 松永幹夫
2009 カジノドライヴ 牡4 8 安藤勝己 藤沢和雄
2008 ヴァーミリアン 牡6 12 武豊 石坂正
2007 ヴァーミリアン 牡5 4 C.ルメール 石坂正
2006 カネヒキリ 牡4 4 武豊 角居勝彦
スターキングマン 牡7 7 O.ペリエ 森秀行
2005 アジュディミツオー 牡4 6 内田博幸 川島正行
2004 アドマイヤドン 牡5 8 安藤勝己 松田博資
リージェントブラフ 牡8 9 吉田豊 大久保洋吉
サイレントディール 牡4 12 武豊 池江泰郎
2002 アグネスデジタル 牡5 6 四位洋文 白井寿昭
トゥザヴィクトリー 牝6 11 O.ペリエ 池江泰郎
2001 トゥザヴィクトリー 牝5 2 武豊 池江泰郎
レギュラーメンバー 牡4 9 松永幹夫 山本正司
2000 ワールドクリーク 牡5 6 加藤和宏 新井仁
1998 キョウトシチー 牡7 6 松永幹夫 中尾謙太郎
1997 ホクトベガ 牝7 中止 横山典弘 中野隆義
1996 ライブリマウント 牡5 6 石橋守 柴田不二男