香港カップ

2022/12/11(日) 17:40発走 シャティン競馬場

見どころPREVIEW

3度目の対決となるパンサラッサ(左)とジャックドール(右)。(Photo by Shuhei Okada)

日本勢が4連覇へ質・量ともリード、地元のロマンチックウォリアーにも注目

モーリスが圧勝した2016年以来となる大量5頭の日本調教馬が参戦する香港C。目下3連覇中の勢いにG1ホース4頭を擁する強力な布陣が乗り、今年も優勝争いをリードする。これまでワンツーフィニッシュは3回ある日本勢だが、初の上位3着まで独占を狙えるかもしれない。

まずは上位独占なるかが見どころだが、日本馬同士の力くらべも大いに興味深いところ。とりわけ札幌記念、天皇賞(秋)に続くパンサラッサとジャックドールの3度目の対決を楽しみにしているファンは多いことだろう。

札幌記念ではパンサラッサの行き脚が鈍く、離れずマークしたジャックドールが差し切る一方、天皇賞ではパンサラッサが果敢に飛ばして2着に粘り込み、ジャックドールはいささか消極的な走りで影も踏めないまま4着に終わった。展開も着順も対照的で両雄に優劣はつけられず、ここで何らかの関係性が見えてくるのではないか。

パンサラッサの矢作芳人調教師は今回も堂々の逃げ宣言。追い掛ける立場のジャックドールはペース判断に定評のある武豊騎手を新たな鞍上に迎えた。ジャックドールにハイペースで飛ばすパンサラッサを捕まえに動ける脚があるならば、ゴール直前まで息を飲む展開になるはずで、パンサラッサが逃げ粘ったドバイターフのようなスリリングなエンディングも期待できよう。


昨年の大阪杯覇者で今年の同レースは2着だったレイパパレ。(Photo by Shuhei Okada)

もちろん、両雄並び立たずの結末もある。レイパパレとジオグリフも早めに脚を使っていくタイプで、レイパパレには大阪杯でジャックドールを追い掛けて先着した実績がある。ジオグリフはイクイノックスを差し切った皐月賞の内容が鮮烈で、再現なれば突き抜ける場面も。ダノンザキッドは皐月賞と中山記念の内容から距離やトラック1周のレースなどに壁があるかもしれない。近走の安定感を発揮できるか。

近年は劣勢の香港勢だが、今年のロマンチックウォリアーはひと味違う。いわゆる「テン良し、中良し、終い良し」のタイプで、中距離路線では頭ひとつ抜けた存在。昨年の香港Cで見せ場たっぷりの3着に善戦したロシアンエンペラーとも勝負づけを済ませており、日本勢が前のめりになると一気に飲み込む可能性もある。アイルランドのオーダーオブオーストラリアはマイラーで距離が課題も平坦馬場の適性は高い。スピードは上位だけに、日本勢には少々気になる存在だ。

(渡部浩明)