香港ヴァーズ

2022/12/11(日) 15:10発走 シャティン競馬場

見どころPREVIEW

史上初の香港ヴァーズ3勝目を狙うグローリーヴェイズ。(Photo by The Hong Kong Jockey Club)

グローリーヴェイズとウインマリリンの双方に勝機、アイルランド勢が不気味

香港ヴァーズは史上初の3勝目を手に引退の花道を飾りたいグローリーヴェイズ、悲願のG1制覇に挑むウインマリリンの双方にチャンスがありそう。実力的に地元の香港勢は苦しく、このレースで実績を築いてきた欧州勢がライバルになる。

すでに香港ヴァーズを2勝しているグローリーヴェイズの実績が抜きん出ていることは言うまでもない。昨年、鮮やかな差し切りで下したパイルドライヴァーは、今年の欧州戦線でキングジョージ6世&クイーンエリザベスS制覇、コロネーションCも2着とトップクラスの結果を残した。そうした比較からも、相性抜群のシャティン競馬場なら欧州勢に引けを取ることはない。今年は2戦しかしておらず、結果も出せていないが、前走の札幌記念は距離不足なりに内容を残している。ここは渾身の仕上げで上位争い必至だろう。

ウインマリリンはグローリーヴェイズとの直接対決で2戦2勝の実績が強調材料。昨年のオールカマー、今年の札幌記念がそれで、グローリーヴェイズにとってはやや距離不足だった。今回はウインマリリンがグローリーヴェイズの土俵に乗るような形になるだけに、受けて立つとまでは言えないが、互角の評価はして然るべきだろう。


G1初制覇を目指すウインマリリン。(Photo by Toru Arita)

この2頭に対し、レーティング上は欧州勢の方が高評価を受けている。グローリーヴェイズはレーティング116、ウインマリリンも112にレースのアローワンス4ポンド加算で同格扱いだが、アイルランドの3歳馬ストーンエイジは118にアローワンス5ポンド追加で123と抜けた存在。さらに僚馬ブルームも118で続き、A.オブライエン厩舎の2頭は日本勢を上回っている。そこまで実力差があるのか、いささか疑問を感じるものの、ストーンエイジはR.ムーア騎手、ブルームも武豊騎手を配し、ともに先行できる点は不気味。ペースを握られると非常に厄介だ。

フランスのバブルギフトとドイツのメンドシーノはレーティング116で日本の2頭に並んでいる。ただ、前者はG1未勝利、後者はG1ホースも重賞はその1勝のみ。舞台実績を加味すれば、少なくともグローリーヴェイズに比肩する評価は過大な印象がある。もう1頭のフランス馬ボタニクはドーヴィル大賞でステイフーリッシュを下したが、当時は斤量を1kgもらう形で1馬身1/4差にすぎない。ステイフーリッシュは昨年の香港ヴァーズでグローリーヴェイズから8馬身余りの5着。その比較から勝機までは望めそうにない。

(渡部浩明)